11月の1日、僕たちは改装工事前の最後の片付けをみんなでしていました。普段土曜日は休みの2人のアプランティも出勤です。
そのうちの一人、最近店に入ってきた一人について書こうかと。
僕らが普段使っている鍋やフライパンは家庭用のそれとはかなり違って大きくて重いものが多い。小さい鍋でも使い勝手の面からかなり重量があるもの。熱の伝わり方とかが違うので。
そういうものすべて、調理場にあるものを地下にあるカーヴにしまっていました。僕が働いている店は、地下に結構広いカーヴ、すなわちバックヤードがあって、それこそ小さいレストランがもう一つはできるような広さです。そこまで持って行くのも結構しんどいかです。何往復したのかな?わかりません。
それを彼、アプランティくんと一緒にやっていました。
まだ15歳の彼は、特にスポーツをしているでもないような感じで、あまり体力がないようで、すぐにばてる、弱音を吐く、どっかに消える、愚痴をこぼすで、ついに僕の逆鱗に触れることに。久し振りに雷を落としてしまいました。
料理人という仕事は、はじめの何年間は、かなり肉体労働色が強いのです。搬入された食材をかたずけたり、サービス中必要なものを探しに走りまわったりと、決して楽な仕事ではありません。でもみんなが通ってくる道なのです。 もちろんそれ以降も決して楽ではありませんが。
でも彼にとってはそれは彼がイメージしていた料理人の姿ではないようで、つまらないとのこと。ここであきれるのは簡単ですが、僕としては、分かってもらいたいことがいっぱいある。
下積み期間というものは何かを積み重ねていく時間なのです。そこがなければ、いつか後悔することになると思います。
彼が言うには彼は今あまり体力がないから今はほかの仕事の方がいいとのこと。いずれ筋トレでもして頑張るというのです。
僕が身に付けた料理をするための筋肉はジムなどで身につけることはできないと思っています。少しづつ、毎日仕事をしていく中で付いたものです。
僕の働くための筋肉と、どんなに忙しい時でも取りみだすことがない精神力は、今までの積み重ねの中で培ってきたもの。
彼にはそういうことを僕が知っている限りの単語を並べて説明してあげました。たぶんわかっていないと思うな。でも、かつてそうしてくれた人がいたので、僕はこういう機会にはそうすることにいています。今が未来につながっていることを伝えてあげたいのです。
たとえ、今の彼には分らずとも。
ということで、出発前に書いてみました。おそらく帰宅後は即寝でしょうから(笑)。
それでは
行ってきます。
Chanson du Jour : Black Cat / Janet Jackson