samedi 13 septembre 2008

さて、何から始めよう

 ちょっと前から書いていますが、我が店はパトロンが言い出した一言でちょっと大変なことになりそうでしたというか、なっていますと言うか。

 「ガストロを辞めてブラッスリーにしたい」

 よくわからない人には何のことやらと思いますが、フランスのレストラン業界では色々業態がありまして、僕が働く店はガストロノミーという範疇に入る店であります。訳してガストロと言っております。いわゆるガストロと言われるレストランは、イコール星付きではありませんが、それなりの食材を使い、客単価も高く、ゆっくりと食事を楽しむようなレストランです。ブラッスリーとは一日にこなすお客の数が300人とか400人とか言う単位のレストランです。それなりの料理が次々と出てきて、ゆっくりと食事をするようなところではありません。客単価が低いため、それなりの数をこなさなければならないのです。

 今年に入ってから、これまでのようにお客が来なくなりました。高くなりすぎたユーロや、原油価格の高騰なども原因でしょうが、かなりお客の数が減ったのです。僕が思うに、他に原因があると思いますが、今は触れません。

 ガストロと呼ばれるレストランは、以前にも書きましたが高価です。そこで、パトロンは価格を下げてお客を増やそうと思ったのでしょう。理論的には正しいかもしれません。でも、そのためには、本当にブラッスリーをやりたいのであればキチンとそういう店に改装しなければなりません。そして、きちんと店のコンセプトが変わったことを示さなければならないでしょう。

 こんな状況の中でも、事前に予約を入れて来店してくれるお客さまたちがいます。我が店はミシュランをはじめ、かなりの数のガイドにお魚がスペシャリテのレストランとして載っています。その人たちがそのつもりで来店して、ブラッスリーに変わっていたらどう思うのか?誕生日など、何かの記念日の為に来店する方も少なくはありません。そういうことにもきちんと対処していかなければならないはずです。予約を受けたからそれでオッケーなわけではないはずです。

 そして、値段を下げるためには、原価も落とさなければなりません。原価を落とすということは、イコール食材の質を落とすことであります。働く喜びをそがれることになります。

 僕たちはパトロンと話し合いを持ちました。結果から先に書くと、ブラッスリーにはしませんが、今までよりはシンプルにやろうと言うことになり、あまり高い食材、特に珍しい野菜などの使用を避けて原価を落とすことに落ち着きました。

 それまで、お客が来ていた時にはやらなかったことを突然始めたわけです。業者の見直しとか、きちんと原価を出すとか、棚卸をしっかりやるとか。

 それでもかなり厳しいのは現実としてあるようで、8月いっぱいをもって、サービスの人間の3人が解雇、8月の初めに退職した料理人の補充はしないことになりました。今は最少の人数で回しています。

 その厳しい中で、いっぺんにカルトも変えました。パトロンのいうシンプルな料理に。

 おそらく、パトロンはシンプルな料理というものが簡単な料理と言うことだと思っているようです。

 でも僕達にはそうではない。少なくとも、僕には。

 明日はその辺を書きたいと思います。気が向かなければほかのことを書くかもしれませんが、一応そのつもりで。

 では、また明日。





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