vendredi 2 mai 2008

時々思い出す昔のこと(5)

 その当時、というか、そんなに昔でもないけど、フランスでは頻繁に法律が変わるせいでこういう書き方をしますが、僕がそれなりのレストランで働くには、まず、研修という手段しかなかった。前提として、無給。





 だから、その研修もそんなに長く続けられるものではない。人間生きていれば色々消費するし、その為にはお金が必要な仕組みの社会ですから。





 今の店でしばらく研修を続けたある日、いつまでいれるのかということになった。





 僕はこう答えました。





 「今の状態では長く働くことは出来ない。ちゃんと給料がもらえないとフランスに残ることは出来ない。」と。





 そうすると「そのためにはどうすれば良いのか?」と。





 その当時、僕もわからなかった。どうすれば外国人がちゃんと合法的にお金をもらって働くことが出来るようになるのかなんて。





 じゃあ、調べてみようとい言う話になり、それからが僕のサラリエ(給与所得者)としての道が開けたのでした。


 


 頑張りが認めてもらえた、という気持ちになったことを覚えています。





 でも、周りにあんまりいなかったんですよね、そういう人。何人か日本人がちゃんとした紙を持って働いてることを耳にするぐらいにしか。直接は知らなかった。





 語学学校に聞いたり、ネットで調べたりと。そうこうしているうちに、学生からの身分変更が出来るみたいだということがわかって。でも100パーセント通るわけではないと。実際に拒否されている人も知ってますし。





 しかも、その申請にあたって店のオーナーはフランスに対してお金を払わなくてはならない。そこでも難色を示されることが多いという。要は、フランス人を雇えばかからない費用が、外国人である僕を雇うことで発生するということ。





 どこでもそうかもしれませんが、ここフランスのパトロンは皆さんシビアです。払う必要のないもには一切お金は出しません。ですから、僕はここが一番気がかりでした。





 でも僕は運が良かった。彼は一つ返事で快諾してくれました。決して安くはない金額なのにもかかわらず。





 でもラッキーだけではないと思っています。以前も書きましたが、毎日アクセル全開でしたから。自分でも思いますが、ちょっと頭の中のいくつかの線が切れていたんじゃないかと思うほど。たまに同僚に最近おとなしいな、といわれますが、自分でも良くわからないといった感じです。あの時と同じことが出来るのか?と思うと即答できません。





 詳しい手続きの話はめんどくさいので書きませんが、かなりの書類を集めました。不備があれば一からやり直しですからね。かなり慎重に、店側もそれまでの求人広告の領収書やら、店の財産状況やら、従業員の数など、僕だけではなくて雇う側の健全性も問われるみたいです。





 そして警察署に指定された日に書類を持参して、軽く質問の受け答えなどがあった日から約一ヵ月後、我が家に一通の手紙が警察署から届きました。





 色々長々と書いてありましたが、要は「あなたの申請は受理されました。これからこれらの手続きを進めます。」という内容。





 そのとき日本を発ってから約1年と10ヶ月くらいだったでしょうか。





 今思い出しても、なんとも言葉にならない気持ちでありました。やっと、スタートラインに立てた気がした日でした。





 これからが勝負だな、と。





 実際に、サラリエとしての滞在許可証を手したのはその年の9月の初めでした。僕はもちろん、店の同僚みんなも喜んでくれ、みんなでシャンパーニュで乾杯したのをおぼえています。今でもそのボトルは僕の宝物として、我が家の玄関先に飾ってあります。これがなければ、今はない。毎朝、そして毎晩それを見るたびに思います。あのときの気持ちを忘れないように。





 その後、シェフは僕にバカンスを提案してくれました。こっちに来て早2年、一回も帰ってなかったし、僕自身も応援してくれた家族や友人に会いたかったし。正直かなり消耗していたし。でもかなり迷いました。その当時この店には2つ目の星へのエスポワールがついていました。個人的にもそして厨房自体にも勢いがありました。このまま続けて働いたほうが良いのではと思いましたが、みんなが進めてくれたので一時帰国をすることになりました。その後店としては残念な結果を得ることになりますが・・・・・・


 


 本来有給休暇は雇用されてから一年後に使えるものですが、僕が正式にサインしたのは9月からですから有給なんてもちろんない。でも、パトロンは僕がとったバカンス3週間分の給料を支払ってくれました。とてもありがたかった。なんとも恵まれた環境、そして僕に対する信頼の表れと僕は捉え、より頑張ろうと思えた事でもありました。





 あのときは久しぶりの日本を満喫しましたね。いつでも嬉しいけど、あの時は本当にみんなに会うのが嬉しかった。そしてあっという間の3週間。いつもあっという間の一時帰国。





 そしてまた仕事を再開したんですが・・・・・・


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